第23話

side 真琴




「さっすが、来月入籍のカップルは違いますな!」


「……。」



更に下がる、ゆいかの顔。耳まで真っ赤なんですけど。


「なんだこの究極可愛い生き物。」



ゆいかを嫁にもらえるなんて、あの般若もラッキーだな、と昔から見てる仏頂面を思い出した。



想像しましたかみなさん?あの般若が。鬼が。悪魔が。



「このメールもどんな顔して打ったんだか。」


「……。」



リア充め!どうせ私は今年もチョコやる人なんていませんよ。


……隼兄には死んでもやんないからね。一度やったらくそ泣かれて、もう二度とやらないと決めた。



だけどその一回が尾を引くわけだ。毎年、この時期。チラチラチラチラ……見てくる。



あの期待の表情、どうやったらそう思う訳?もう何年もやってないわけよ。そろそろ諦めろや。



「……いるくせに。」


「は?」



兄貴のふにゃふにゃ顔を思い出して身震いしてたら、ゆいかが涙目を上げた。あら可愛い。じゃなくて!



「真琴だってあげたい人、いるくせに。」


「っっ、」



バレンタインデーにチョコを渡す人は決まってる。



好きな人、好意を持ってる人、愛する人、義理や人情でやる人もいるけど……

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