第22話

side ゆいか




[お前が好きな物を一緒に食べる。]


「……。」




突然着たそのメールは、私の顔を一気に熱くさせた。



「なになに?……あ”?」



どうやら、真琴にも分かったらしい。



「隼兄を殺してくるわ。」


内緒にって言ったのに1分でバレてるからね。そりゃ笑顔でそう言うと思う。



「だけどさ、隼人に聞く真琴の選択ミスだと思うな。」


「……大変申し訳ない。」



心底申し訳なさそうに、ものすごく綺麗に頭を下げてくるから、びっくりしちゃったけど。



「ううん。私が調べるべきなんだよね、本来は。」



バレンタインデーなんて行事、あるのも忘れてた。元々行事に疎いのもある。そしてそれ以上に……今までの私は、そんなこと気にする余裕なんてなかったから。



「奏が、こうして言ってくれるから、やってみようかな。」


「……結局自分の好みは言ってないからね。」



白目でそう言う真琴に苦笑いを返すしかないけど、奏は甘い物が苦手。だから仕方がないのかもしれない。



「一緒に!くぅ~~!言われてみてぇ~!」



悶える真琴のせいで、私の顔は火を噴いた。

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