第14話

side 奏




「奏~、もうすぐだよねぇ?」


「……。」




事務所に突然来たチャラ男が、俺のデスクの前でニヤついた顔を向けてくる。


「とりあえず死ね。」


「同感。今すぐ鼻血部屋来いや。」



俺と同時に弘人の胸倉を掴んだ隼人に、弘人が嘲笑を向けた。



「フッ、どうせ貰ったことないだろ?カス。」


「あ”?あるわ。当たり前だろ?」



ふふん、と鼻を鳴らす隼人に、弘人は笑みを深める。



「妹には?」


「ぐはっ、」



心臓を抑えた隼人が床に頽れ、その目から涙を流す。



「俺のっ、心の傷をっ!」


「アハハハ!ウケるぅ!」



馬鹿2人のやり取りに、ため息すら出ない。



「とりあえず、2人ともくたばれ。」



たかがチョコレートでここまで本気になれるのが不思議でしょうがない。



「そっ、そういう奏だって貰ったことないだろ!?」


「そーだそーだ!」



突然手を組むことにしたらしいバカ共が、肩を組んで抗議の声を挙げる。



「……ねぇな。」



お袋が用意してたはずだが、親父がイラついて食ってたしな。


どうでもいいものだからそれは問題ないんだが。



「でしょう?学校では奏宛のチョコは俺が貰って帰ってたからね!」


「「……。」」



胸を張る弘人が、隼人をドン引きさせた。

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