バレンタインデーの悲劇
第11話
side ゆいか
「マジの助?」
「うん。マジの助。」
教室で本を読んでいる私が何気なく呟いたその言葉に、真琴は丸々と目を見開いて固まっている。
「あちゃー。」
「……。」
わざとらしく、目を手で覆って主張して見せているけど、うん、それは見なくてもいい。
本から視線を外さない私の視界の端で、なんとかこちらを向かせようと、手を振ってみたり、大きなため息を吐いてみたり。悪戦苦闘のその姿は、流石田島兄妹だと思う。
そんなこと言ったらしばらくふてくされるから言わないけど。
「おーい。」
結局無視に耐え切れず声をかけちゃうところが、隼人にそっくりで。
「フフッ、」
思わず笑ってしまう。
だけどここからは少し……
「ちょっと本を閉じなさい。」
「はい、すいません。」
お兄さんとは、違う。鬼の形相の真琴に命令されて本を閉じると、それは没収されてしまう。
……いい所だったんだけど。
真琴の机の上に乗るそれを名残惜しそうに見ていると、私の視界いっぱいに真琴のつけまつげが。
「人の話を聞きな。」
「すみませんでした。」
その血走った目、どうにかならないかな?苦笑いしか出ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます