第51話
side 密人
『報告は受けてる。取り敢えず若姐さんに選んで貰って色々届けるから。ラブホの名前と部屋番メールしてくれ。』
先程の電話の最後で康祐にそう言われていた。
入ったこともねえラブホは想像と違っていて。
新城の管轄のラブホなんて腐るほどあるが、普段は裏から事務所に直行だ。
実際に使う部屋への入り方なんて知らない俺は、一番マトモな奴に電話をかけていた。
要件だけを伝える俺にもう慣れているのか、康祐はかなり間があった後、淡々と方法を教えてくれた。
最後に言った事なんて、気遣いの出来るあいつらしくて。
杉原茉里の今の格好を見れば色々必要なのに、全く気付かなかった自分に苦笑いが漏れた。
康祐に電話をかけたのは理由がある。
夏流になんかかけたら後々弄られること間違いなしだし、弓は周りに人が多すぎる。
朔真の色ボケは夏流に誘惑されればすぐにゲロするアホだし。
結局弓にはバレそうだが、色々気遣ってくれる康祐が頭に浮かんだ。
康祐にメールを送って思ったより清潔に保たれているベッドの上に浅く腰掛け、煙草に火を点けた。
「・・・・。」
吸いながら辺りを見渡せば、灰皿が見当たらない。
ココは禁煙だったかと苦笑いを漏らして携帯ケースにすぐさま収めた。
一吸いだけだったが、少しだけ摂取したニコチンは俺の頭を冷静にさせてくれる。
聞こえてくるシャワーの音。
それだけが響く室内に居心地が悪くなって、膝の上に肘を載せた俺は浅く俯き、目を閉じた。
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