第41話

彼女には申し訳無いが、この世界、いや、族にいたころからよく見る光景。


レイプという非道な行為は、何故こんなにも繰り返されるんだろうか。



女より力が勝っている男がやるこの行為。

未遂だろうが事後だろうが、これほど見ていて胸糞悪くなる事などない。



彼女の腫れた頬を見て眉を顰めた俺は、一歩前に出た。



「密人さんは?」


「ッッ、」



俺の声に肩を揺らした志保。


その事で漸く俺の存在に気付いたのかと、苦笑いが漏れた。



「あっちです。」



そう答えたのは、茉里。



彼女の目は濃い闇色に染まっていて、襲われた後だというのに冷静でいることに違和感を持った。


そんな彼女の表情に何故か再び姐さんを思い出す。



首を傾げた俺は取り敢えず、非常口へ向けて歩を進めた。




キイッ、



「密人さん?」



外へ出た俺の目に飛び込んできたのは、暗くなった繁華街のネオンに呼応する銀髪。



「・・・・ぁ、ゆる、」



そして最早誰かも分からない、血塗られた谷中だった。

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