第37話

杉原茉里の状況は改善されたと、報告が上がっていた。



それはその店の№1、志保からの情報。



あの後すぐ、驚いた事に杉原茉里が”キレた”らしい。



暴行を受け俺たちが来るまでの間に、皿を割られたり、盗難騒ぎが出たり、エスカレートしていたいじめ。



俺たちの登場でそれはすっかり無くなっていた。



しかしそれは数日だけ。



今度は彼女の持ち物が荒らされ出した。


服は破られ、持ち物は無くなり、彼女のイライラもピークだったと、面白そうに電話口で語られた時には思わず苦笑いが漏れた。



そんな時、着替えている彼女の背中を写真に撮った者がいた。



いい大人が愚かな事をするものだと、溜息を吐いたのは俺だけだろうか。



しかしそれに茉里がキレた。



カメラを構えて脅しの言葉を吐く女に、


「・・・・返しなさい。」


静かに放たれた、言葉。




後ずさる女を射殺す程睨みつけた彼女はカメラを奪い取り…、


「今度したら、ただじゃおかない。」


それだけを呟いた。




気の強いキャバクラの女を、ただの一言で黙らせた茉里の気の強さは折り紙付きだ。



思わず笑ってしまった。



密人があの女に何か感じた意味が分かった気がした。

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