第19話

取り敢えず、納得がいかなそうな新入りたちを見渡す。



「わりい、お前ら名前だけ教えてくれ。」



新城の組員は把握しているが、流石に新入りは頭に入ってはいなかった。



そんな俺に、パンチが名乗ろうとしたから、


「お前は知ってる。」


そう言って止める。



武と悟は言わずもがなだ。



だからその横の、金髪のキツネ目へと視線を動かした。



するとそいつは少しだけ、瞳に険しさを映す。


そして、


「道重 祐樹(みちしげゆうき)」


それだけを呟いた。



明らかに態度の悪いこいつに目を細めたが、


その隣の奴が名乗りだしたことによって、俺の意識はそちらへと向かう。



武たちの他、道重を含み新入りは5人入った。



俺の直属の【下】に武と道重、悟含め5人は護衛部隊に教育を受ける事になり、パンチは冬夜専属の為本家へと帰って行った。



「俺は今日、巡回がある。特には教えねえ。俺がやってる事を見て覚えろ。」


「は。」「・・・・。」


返って来たのは武の返事だけ。



未だに俺を威嚇してガムを噛む金髪に、厄介な奴が付いたと溜息を吐いて繁華街へと足を踏み出した。

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