第17話
これから一旦全員で若に挨拶をしようと思っていたが、弓が来ているのなら色々と不具合が生じる。
それに・・・、
康介の持っている盆へと視線を向ける。
「さっき壮士さんが入っていったぞ。壮士さんの分も用意しねえと。」
「あ・・・分かりました、すぐに。」
給湯室へと戻っていく康介を見送った。
壮士さんは別に食いたくもねえくせに自分の分が無いとそれをネタに弓をいじめだす。
それを後からグチられんのがめんどくせえ。
苦笑いをこぼした俺は、居心地悪そうに佇んでいる新入りたちを漸く思い出した。
「・・・わりい。今から若に挨拶する。若姐さんもいるから、機嫌がわりい。決して地雷は踏むなよ?ついてこい。」
「「「う、うっす!」」」
武と悟、パンチはこの言葉の意味が分かっているだろう。
現に苦笑いを浮かべているから。
頭もそうだが自分の女と一緒の時間を邪魔すると、すこぶる機嫌が悪くなる。
若の場合はそれに甘味の時間まで加わっているから、地雷はもう踏んでいるも同然だった。
俺が言ったのは、"弓の地雷"だ。
まぁこのメンバーなら一番の地雷の若の昔の女の話をするやつはいないだろうが。
武たち3人以外の、顔色を真っ青にさせている面々を一瞥して、小さくため息を吐いた。
「お待たせしました。」
「・・・行くか。」
とりあえず甘味と一緒に入場して少しでも空気を良くしようと思う。
コンコン・・・、
「・・・・・入れ。」
明らかに機嫌の悪い返答に康祐と苦笑いを合わせ、自分の名を名乗って執務室へと足を踏み入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます