第16話
「雅人が居なくなってどうしようかと思ったんですよ。」
いきなりそう切り出した壮士さん。
視線を向ければ、俺へと向けられる三日月の瞳とかちあった。
壮士さんは俺の肩に手を置くと、
「新入りのお世話、頼みますね?」
「・・・・俺も新入りなんすけど。」
俺の言葉が全く聞こえていないのか、壮士さんは笑みを深めると、若の執務室へと姿を消した。
「・・・・はぁ。」
完全に押し付けられた俺はため息しか出ない。
悩んでいても仕方がないから、新入りたちへと向き直った。
「田島だ。俺も一応新入りの部類には入るが、ここに通い出して5年になる。大体の事は把握してるから、何かあったら聞いてこい。」
「「「うっす!!」」」
元気良く返事をした新入り仲間に小さく頷くと、
「康祐!!」
「ここに。」
大声の俺の呼び声に答えた康祐が、何故か給湯室から姿を現した。
「・・・お前なんでそこにいるんだよ?」
「・・・・若が、茶菓子をご所望だったんで。」
苦笑いの康介の手にはお茶と饅頭が2人分。
「・・・・・若姐さん、来てるか?」
「ご推察の通りっす。」
その答えで、俺は大きくため息を吐くしかなかった。
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