第12話
買い物とはいえ、無事に済むわけがなく。
俺たちの外見を見ている女たちは頬を染め、俺たちの職業を見ている者たちは軽蔑の視線を送る。
そして、どの目にも映る”怯え”
そんな疲れる視線にさらされながらも、それを全く気にしない夏流と弓は、始終楽しそうだった。
やはり夏流の目的は朔真で。
何かと買い与えようとする夏流に困り顔の朔真を俺はいつもの通り放置した。
弓なんかはショッピングモールに入るなり、冬夜とゲーセンへ行ってしまい、なんで来たのかも不明。
結局俺は苦笑いの康祐と共に必要な物を買い足した。
買い物は1時間もかからなかったが、問題は俺の買い物じゃない。
どうせ夏流が時間かかるだろうと踏んで、俺と康祐は建物内にあるカフェで待つことにした。
注文をして、煙草に火を灯す。
紫煙が一本吐き出された所で、康祐が口を開いた。
「もう、こんな風に、出かけることもねえかもな。」
「そう、だな。」
俺たちはダチの様に、日々を重ねてきた。
弓と俺、朔真と夏流、そして冬夜と康祐。
しかし正式に俺の異動が決まり、これまではただの手伝いにすぎなかった俺は、若の側近となる。
すなわち、弓と夏流、冬夜は俺の”上”の人間になり、本来は名前すら呼び捨てには出来ない立場となる。
康祐は俺より格段に地位が下だ。
組では俺に頭を下げる立場になる。
朔真はほぼ同等だが、夏流と結婚すればそれも変わるだろう。
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