第10話
「で?結局どこに行くんだ?」
「は?」
口を大きく開けた弓に苦笑いを零す。
「だから、買い物、行くんだろ?」
「流石密人ね。"THE事なかれ"」
「お前な・・・。」
背後から聞こえた聞き捨てならない言葉に、眉を顰めて振り向いた。
ちょうどキッチンから朔真と手を繋いで出てきた夏流は、ふわりと笑みを向けてくる。
「じゃあ、めんどくさいから付き合った方が賢明だと判断した察しのいい男は?」
「め、めんどくさい・・・、」
「アハハ!弓めんどくせえんだって!」
夏流の的確な指摘に、弓だけが反応する。
それを笑う冬夜には悪いが、
「俺がめんどくさいのは今気にもしてない奴らの方だからな。」
そう吐き捨てて玄関へと続く。
「誰の事かしらね?」
「・・・お前もう分かってやってるだろ。」
背後で夏流の愉快そうな声が聞こえ、朔真が呆れの言葉を吐いた。
俺のあとへ続いてきた馬鹿共。
そして事務所の外へ出れば、物々しい警備を目の当たりにする。
「・・・・。」
若の側近とはいえ、新城を支えてきたこの人たちに俺の買い物に付き合わせるなんて・・・。
「すいません。」
「いや。 こっちこそわりいな。お嬢がいるからどうしてもな。」
新城の娘の夏流と、若姐の弓。
この2人がいる時点で諦めるしかない。
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