第55話

しかし、中にはイレギュラーと呼ばれる事象も多く存在する。もちろん、そのイレギュラーの中に小町とシュガーのことも含まれていた。




人の心は時に、運命をも狂わせる。





ミルの予定では小町はシュガーという悪役を倒し、ビターと幸せになるはずだった。しかしそれを狂わせたのは、シュガーの思いであり、小町やビターの心である。




人は、一歩間違えればそれは悪魔にも劣る行為へと走る生き物である。



運命すら狂わせてしまうそれは、まさに小町という人間を壊してしまった。



時に悪は、あらゆるものから逃れて逃げおおせることがある。そのなかで最も醜悪でミルがどうしても許せなかったのが、シュガーだった。




この小町という人間がミルのお気に入りでなければ、たまたま、悪が正義に勝った理由がミルの不快に触れなければ、小町は最悪の一度きりの人生を終え、別の人間として生まれ変わり、別の余生を送っていたかもしれない。



「代わりなら用意できるぞ。」




しかし幸か不幸か、この物語の主人公に選ばれてしまった温度小町は、このアホな神のため、自分の運命に立ち向かわなければならない。



「どうやって?」




頬杖をついた小町が、温度の低い目を向ける。その目は語っていた。どうせろくでもない方法だろう?と。

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