第50話

しかしどうであろう。蓋を開けてみればその刺客たちはことごとく打ち払われ、しかもその手口は巧妙であり、それが小町の手によるものかさえ分からなかった。



シュガーが認識しているだけでも、他の后妃候補の放った刺客も合わせればそれは、両手を使わなければならないほど多い。


しかしそのすべてが、音もなく消えた。逃げた者もいるのかもしれないが、逃走することはすなわち、逃走経路があるわけで、まったく証拠を残さず、ということはあり得ない。しかし、小町に関わる刺客たちはすべてが、証拠も残さず消えているのだ。



それはシュガーたち犯人にとって、不気味以外のなにものでもない。



刺客を差し向けた側とはいえ、音もなく手勢が姿を消したのだ。それも病弱な、ビターの寵愛しか知らない小娘だと舐めてかかっていた女に関わっただけで、だ。




小町の背後にどんな力があるのか、シュガーは警戒していた。それと同時に小町自身のことをよく知りもしないでこの世から消してしまおうと考えていた自分の愚かさに歯噛みした。




小町を覆う力が大きいのか小さいのか、そして、小町自身はどんな女であるのか、シュガーはまず、知ることを選んだ。




そして結果、小町がとるに足らない存在だと分かったのなら踏みつぶせばいいし、相手の巨大さが露呈すればそれほどの脅威はない。

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