第49話
ビターとの未来しか見えていなかったシュガーにとって、それほど絶望を感じた時はないであろう。他の令嬢が優雅に遊んでいる間も、手に豆を作り、血のにじむような努力でビターのために勉強してきたのだから、当たり前である。
だからこそ、小町の存在が許せなかった。
自分ほどビターと時間を共有してきたわけではないにかかわらず、まるで謎の熱病にかかってしまったかのように彼女を見つめているビターを見て、シュガーは裏切られたような気分だった。
だからこそ、小町を簡単に殺したりはしない。シュガーはそう思った。まず、他の后妃候補から排除し、最後に小町にとどめを刺すつもりだったのだ。
じわじわと周りが倒れていくことで、小町自身に恐怖を植え付け、それがピークに達した時、彼女自身を終わらせよう。それがシュガーの考える最善。
自分の世界一大事なビターを奪おうとするのだ。それくらい苦しんでもらわなければ気が済まない。そう思った。
しかし、他の令嬢を排除しつくした頃、事態はある意味、シュガーにとって好転する。
小町の発病と、療養地への移住である。
チャンスだと思った。もし小町が療養地で死ねば、これほど自然な死はない。シュガーは嬉々として刺客を差し向けた。
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