第48話
そんなシュガーの気持ちを察しているからこそ、ビターは自分の相手に自分を選んだ。シュガーはそう思っていた。
ビターと過ごす夜は、彼の激務の中ゆえ、それほど多くはなかったが、シュガーにとっては至福の時間であった。
それも、もはやないと思っていた后妃候補に自分が挙がった今では、ビターの寵愛はもはや自分に移ったのではないか、そう思うほどだ。
シュガーとビターの関係は、もちろん宰相である自分の父はもちろん、有力貴族ならばみな知っていることだった。
小町から言わせれば、結婚前の皇帝の貞操はどうなってんだ!と叫ばれそうであるが、この世界での未婚の皇帝の清さなど、求められてはいない。
むしろそれが原因で子ができたとすれば、次期皇帝が生まれてよかったではないかと手を上げて喜ばれるだろう。
逆に、女性が皇帝へ嫁ぐ時、純潔であることは当たり前である。男尊女卑という言葉がある小町の前世、生きていた世界ではどうであったか知らないが、この世界では男性と女性の力関係は対等ではなかった。
シュガーはもちろん純潔ではない。しかしその相手は、ビターである。しかし、魔物はいるが魔法などないこの世界で、シュガーの相手が誰であるか、また、それがビターだけであるかなど、証明できるはずもなく、宰相である父は娘が切望しているにも関わらず、娘を后妃候補に入れることを拒んでいたのだ。
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