第47話
「申し訳ございません。最近特に体調がよくなくて。」
申し訳なさそうに視線を落とした小町は内心、お前のお茶会なぞ一生行きたくはなかったがな!と中指を立てていた。しかしそんな素振りなど全く見せず、同性ですら惑わせるほどの儚い笑みを見せる。
それに呆けている后妃候補AとB、そして参加者の令嬢たち。シュガーだけがその笑顔を扇子越しに見て目を細めた。
シュガーは今、見極めている。
目の前にいるこの女性は、確実に自分の最大のライバルなのだと分かっていた。それも、少しでも油断すれば自分はあっさりと敗北を期すだろうことも。
子供の頃から、シュガーはビターの傍にいた。年も近いこともあり、王の息子とそれを支える宰相の娘という近い関係であったことも幸いしている。
ビターは、よく笑うようないわゆる普通の子供らしくはなかったが、不器用なその素顔の裏側で、どんなことを思っているのか、シュガーには分かっていた。
国のために尽くし、国のために犠牲を払う彼を、シュガーは誰よりも尊敬し、支えたいと思っていた。
だから彼女は、貴族の令嬢が好むオシャレも遊びも、幼少の頃からほぼ経験したことがない。その時間を使っても、将来ビターを支えるためにやるべきことを消化できないほどだった。
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