第43話
例えば小町が、シュガーとビターの関係を公のものにしたとする。そうすればもちろんシュガーはその資格を失い、他の空気に等しい后妃候補など小町の相手にはならず、当たり前のように小町が后妃の座を射止めることができるだろう。
シュガーは小町がどうにか后妃にならないよう、画策しているとはもちろん知らない。
逆に病弱な自分の不利を、少々ビターの醜聞を晒してでも巻き返そうとするかもしれないと考えるだろう。
それに、小町は知っていた。シュガーの想いを。
シュガーは馬鹿ではない。だからこそ、純粋無垢で世間知らずとはいえ、馬鹿ではない前々世の小町は彼女の策略にハマり死を賜った。
人を陥れる、しかもビターの寵愛を受けた姫をとなると、それなりのリスクと覚悟がなければ無理である。しかも、シュガーの計画はほぼ完ぺきであり、万に一つもあの時の小町には勝ち目はなかった。
あるとすれば、理不尽を承知で盲目的にビターが小町を信じることであったのだが、最後の賭けて小町はシュガーに惨敗したことは、彼女が今三度目の人生を歩んでいることからも明らかだろう。
そしてそんな計画を命を懸けてまで、そしてこの世で弱みとなり得る情報を敵である小町に握られていることを承知の上で、それでも后妃候補としてこの城に来ているのはひとえに…。
---ビターへの、狂気的なまでの愛ゆえ、であった。
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