第41話
ミルは、小町に幸せになってもらいたいのである。だからこそ神である自分が禁忌を冒してまで肩入れしている。
小町からはかなり馬鹿にされているミルであったが、神らしい一面もきちんとあったということである。
「お茶会自体に出ることは別に良いが、なんせ菓子がマズイ。だからこそ我は断っていたのだが。」
「ミルは従者なんだから菓子を食べれるわけないでしょ。」
「なに!我は神ぞ!」
「……バカすぎてもはやなにも言えないわ。」
恐らく、神らしい、一面もあった、と言うべきか。
ため息を吐いた小町は、その綺麗な黒目に憂いを宿してもう一度ため息を吐いた。
「やることはいっぱいなのにさ、身動きできないって地獄よね。」
「まぁ、そうだな。」
小町の憂いは日々色濃く、大きくなっていく。
「今後の生活のこと考えなきゃなのにさ、こんなとこで紅茶でお腹太らしている場合じゃないんだけど。」
「実家から金を貰えばよかろう?」
「無理。私、ここを出たらあの家とは縁を切るつもりだし。」
「ほう。」
目を細めたミルに、小町は笑って見せた。気丈に見えるその笑顔の裏には、泣き叫ぶほどの悲しみが宿っているのを、ミルは読み取れてはいない。
「シュガーが后妃になったとして、私の存在を許すわけがないからね。」
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