第29話
しかし小町は、その完璧の上をいく女性なのだ。
集めたデータを適材適所で発揮し、なおかつそれ以上のもてなしをできる。
洗礼された所作、好ましい雰囲気。小町が笑うとビターだけでなく、この部屋すべての者が和む。
自分を見つめるその目は幼少の頃から変わらず、まっすぐだ。
それが無礼であると言いたいわけではない。小町のその目は、王太子であった自分でも、皇帝である自分を見つめているわけはない。
小町は自分を、ビター・ドロップ、一人の男として見ている。
それは、この世界では特異なことである。この世界でコーヒー王国の皇帝とは人の頂点と言っても過言ではなく、それはこれからも変わることのないであろう事実である。
実質、コーヒー王国ほど富んでいる国はあまりない。この世界には亜人たちの住む国以外はすべて人間が統治しており、その筆頭がコーヒー王国であるからだ。
それだけ、ビターという皇帝は唯一無二。代えのきかぬ、最高権力者なのである。
そんな皇帝をただ一人の人間として見ることは、この国の、それも貴族に属する人間ならばあり得ないこと。
しかし小町は、その壁を悠々と越えてみせる。それだけ非凡で特異な女性なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます