第28話
その気遣いに、ビターの頬が緩む。小町のこういう所がビターの目にはことさら好ましく映っていた。
自分の趣向と好みを理解しているのは当たり前。真の素晴らしい女性とは、それをさりげなく"使う"者を言う、ビターはそう思っている。
女性が男性の好みを理解する。それが当たり前だというのは女性を卑下して見ているのではなく、ある程度の地位にいる者ならば当たり前に身に着けておかなければならないこと。
例えばビターの場合。コーヒー王国と対等である国は少ないながらも、来賓として他国の賓客を招くことは少なくはない。
その時、王ともなると自ら調べたりはしないが、客として招く人物を調べ上げるのは外交上、当たり前のことである。
コーヒー国に来て少しでも不快に思われることはどう考えても良いことはなく、招く側のビターは細心の注意を払う必要がある。
それは、后妃候補たちから見たビターも同じと言えよう。
ビターという自分の夫となり得る男性を限られた時間でどれだけ心地よく過ごさせることができるか。
それは将来この国の国母となる女性ならば当たり前にこなさなければならないことだ。
もちろん、他の后妃候補たちは国のあらゆる名門貴族から選抜されているため、小町と同じくもてなすことに少しの隙も見当たらない。
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