第21話
小町は、この世界ではまだまだ死者も当たり前に出ている、重度の喘息、ではない。
健康体も健康体。二度の生まれ変わりをしているせいなのか、それともミル(神)の加護付きなのかは分からないが、普通の人間よりも健康である。
しかし彼女は、この国一の医者である、皇帝の専属医に重度の喘息である、という診断を毎度いただいている。
それはひとえに、このチートな存在である神の思し召しに他ならない。
「それにしても、時代が追い付いていないからなのか、我の世界はまだまだ発展の余地があるな。」
小町へ出された薬を見て目を細めたミルに、小町が頷く。
「そうねぇ。あの世界に比べたらここはまだまだね。多分あっちで言う中世ヨーロッパってところかしら。でも、この世界が遅れているというわけではないと思うわ。」
「なぜだ?」
何気なく小町の隣に座ったミルを見て、小町がクスリと笑う。
「ここはまだ時代が中世ヨーロッパなだけよ。これから何百年も時間を重ねて、あの世界みたいな時代になっていく。」
「まぁ、あの世界に比べればここは、生み出したばかりだからな。」
まだざっと、50憶年くらいか。と、訳の分からないことを言う。それを生み出したばかり、と表現するミルの年齢がものすごく気になった小町だったが、君は一体何歳なわけ?と聞くことはしなかった。
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