第20話

ミルは、自分が作ったこの世界の人間であった小町に、運命に抗い、自分の満足する結果を残してもらいたく、あの世界から強制的に小町を転生させた。



もちろん、二番目の人生を無理矢理諦めさせられ、しかも自分はもうすぐ火刑に処されるのだ。小町が恨まないわけがない。




しかし同時に、小町はこうなってしまった以上、ミルを責めても仕方のないことだとも思っていた。


それは、元純粋純朴なお嬢様であった小町こその考え方なのか、それとも、二度の人生で辛酸をなめてきた故のひねくれた思考がこの先のすべてを良い方向へ導こうとしている結果であるのか、それは小町自身にも分からない。




しかし、小町には一つだけ分かっている。



これまで通り、盲目的にビターを愛せば、待っているのは火あぶりである、と。





だから小町は、頭を使い、策を労し、この状況を脱しなければならない。そのためならば使えるものは使う。そんな時、自分の神としての力、すなわち反則を使っていいよとこの世界を作った神が言ってきたのなら。




え?いいの?と嬉々として使うのは当たり前の話だ。




「さてさて小町様ー。お薬ですよー。」


「……毎回それ出してないで捨ててって言ってるじゃない。」




そしてこの持病の喘息こそ、ミルのチート(反則)の一つである。

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