第13話

それを読み取ったミルは、しかし小町の言いたいことが分かってしまっているため、先ほどまで鉄壁であったその微笑みに乱れが見える。



「な、なにをおっしゃいますやら小町様。わたくしは小町様付きの侍女でございますよ。定例会議など出ても。」


「あら。侍女たちの仕事を把握しておくのもあなたの仕事ではなくて?」




小町の反論に、ミルの笑顔が更に崩れる。その表情は大いに語っていた。



『余計なことを!』





そんなミルをフフン、と鼻で笑う小町。普段生意気なこの神でも、この世界の住人たちを前にすればその傲慢で尊大な態度を改めなければならない。



普段から、そんな神の身勝手さに振り回されている小町には、こんな些細なことでさえ仕返しになるのかもしれない。




お互い、その顔に浮かぶ笑顔の通りではない思惑を抱えながら睨み合う?小町とミル。そんな2人の戯れを、バイセンの低い声が遮った。




「しかし小町様。それは小町様にも言えることでは?」





ゲ。さすがの小町も、そう顔に書いてある。一拍を置いて自らそれに気が付いた小町は、近くに置いていた扇子を広げて顔を隠した。



「そ、それは、どういうことかしら?バイセン。」




睨みにも近いバイセンの鋭い視線に、小町は何を言われるのかと戦々恐々。

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