第7話

目を細める小町は、昔の自分を想う。言えばこの女、もはや三度目の人生なのだ。すべての人生が十代で終わっているという、なんとも悲しくなる運命を繰り返しているが、それをすべて足せば中年くらいは人生を歩んでいるということになる。




「むう、これは私が神ゆえに、神引きをしたと思っていたぞ!」


「なにそのダジャレ。ないわー。」




天然の神と、ある意味中身が中年の姫。その双方がお菓子をテーブルの上に広げ、あぐらをかき、ゲーム画面を指差しながら笑っていなければ、彼女たちの正体は隠しきれるはずだろう。


隠しきれれば、の話だが。



すると、突然部屋の扉がノックされた。その途端、小町の表情から緩さや楽しさといった、楽観的なものが消える。



そして同時に彼女の顔に表現されるそれは、いつも一緒にいるミルでさえも容易に読み取れるものではなかった。




「お入りなさい。」


「失礼いたします。」




声から一拍置いて、扉が開かれる。顔を見せたのは、温度家から派遣された小町の世話係、バイセンである。



威厳すら感じ、常に厳格な表情の彼女は、少々つり上がっているその目を室内に滑らせる。




ソファーの上に座る小町はただいまティータイムのようだ。机の上には一皿のクッキーと彼女の紅茶。お菓子を派手に用意されるのは好きではないと、質素が好きな小町が提案したが故の素朴さだった。

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