第5話

「あー、だるい。」




言っておこう。ここは数多いる神の一人、ミルが作った崇高な世界。それも、世界でトップクラスを誇る大国の皇帝が住む城。そこには優雅で気品があり、最高の教育を受けた者たちが集う。



もちろん、この前世の若者言葉を放った娘もまた、その中で引けを取らないほどの才女であり、前々世で言えばこの国の国母となった女性である。




しかしこのありさまはなんと表現したら良いか。




「そろそろ考えねばなるまい?」



そう言ってたしなめるのは、彼女の侍女であるミル。この国の侍女たちとは異なる侍女服を纏い、皇帝の后妃候補たちにさえ引けを取らない容姿。



ツインテールに眼鏡、ヒラヒラのフリル付きの白黒の侍女服。どこぞの世界の偏った侍女像を存分に表現しているその姿は、容姿のせいか似合わないと切り捨てられないのが悔しい。




真剣な表情のミル。対峙しているソファーでうなだれる彼女を心配して先ほどの苦言を吐いたのだろう。



彼女の事情を全て知っているが故の苦言。さすが、専属の侍女だけあって彼女のことを第一に考え、行動している。




まさに、侍女の中の侍女!そう言ってやりたい。




「それら、閉まってくれる?さすがに見られたらまずいでしょ。」




彼女が指摘した通り、その手に異世界のゲーム機を握っていなければ、だ。

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