第4話
当然、なにもかもを持つ皇帝であるビターの脳裏にはそんな青写真が浮かんでいた。
それは確かに、将来実現されるはずの【運命】であった。
---この人生が、ビター自身も知らない、二度目の人生でなかったなら。
さて、見目麗しい美青年であるビター皇帝から離れ、地図があっても確実に迷うであろう広い広いこの城の一角。皇帝の住まいの近くにある将来の后妃たちが住んでいる区画へ。
始めの部屋にいたのは、知学に長け最年長である余裕を存分に見せつけ、唯一ビターと
彼女は本来持つ悪女のごとき顔をおくびにも出さず、まさに蛇のように静かに将来の后妃の座を狙っていた。
紅茶を嗜む様はまるで女神のようで、使用人たちも自身の主人が将来この国の母となるのを信じて疑わない。
女神のような見た目。時に必要な非情なまでの残酷さ。后妃となるには必要なスキルを、彼女はすべて持っていると言っても過言ではないだろう。
しかし、彼女は唯一にして決定的なものを持ってはいない。
ビターの、皇帝の寵愛である。
この物語の主人公は、彼女ではない。シュガーの隣室、その隣、その隣にいる后妃候補A、B、Cでもない。
シュガーから最も遠い部屋。南には海、西には城自慢の立派な庭が一望できる、最高級の部屋に彼女はいる。
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