第50話

「申し訳ないけど、みおんには予定がみっちり入ってるから、参加は無理だと思うよ?」


「え、どうして?」



不思議そうな一花の問いかけに律は目を細める。ああ、目の奥になにやら意地悪ななにかを感じる。



「みおんは学校と予備校の夏期講習で夏休みのほとんどがつぶれるんだ。だから他の空いた時間は有意義に使わないと。」



結果、あなたたちとの時間は有意義ではない、と遠回しに言っている、気がする。



「それに、クラスの友達と何日か予定入れてるよね?」


「あ、うん。」



律の質問に素直に頷く。飛び飛びではあるけどそれなりに休みがあるから、その内の何日かはクラスの友達と遊びに行く予定だった。



「でも、休みはまだまだあって!」



一花の中で私はどれだけ暇人なんだろう?胸がざわついた、けど、息ができないほどじゃない。なんでだろう。律がいるからなのかな。




「だめだよ。あとは僕の。」


「へ?」




口をあんぐり開ける一花にクスリと笑って見せて、律はいつもの子犬スマイルに似つかわしくないほどの色気全開の笑顔で続ける。





「あまったみおんの休みは全部、僕のものだから。」

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