第51話
「…なに?」
食堂を出て、廊下を歩く私たち。私のじっとりとした視線にあえて気づかないふりをしているのか、律は笑顔のまま見つめ返してくる。この人のことだからそんなことはありえないけど。
「どこの王子さまかと思ったよ。」
「ときめいた?」
「うーん。」
本気で考え出した私に、律は苦笑い。
「僕なんか男として見れないか。」
「うーん、そういうのとはちょっと違うかな。」
「ほんと?」
さっきまで一花たちに喧嘩売ってた上いつも私をからかって遊んでばかりいる律が。”こういう”話題になると、とても危うく揺れる。
今もほら、すがるような視線で聞いてくるから。
だから私は、自分が思うまま答える。こういうのは取り繕ったところですぐにバレちゃうもんなんだから。
「ヒーローみたいでかっこよかったけど、ときめかなかった!」
笑顔でそう言ったら、しばらく固まっていた律は安堵したようにため息を吐いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます