第45話
「はっ、はい!喜んで!」
友達のお兄さんがこんなコールをする居酒屋でバイトしてたな、なんてどうでもいいことを考えてたら、顔を真っ赤にしてキャアキャア言ってる女の子2人から、見事椅子を手に入れてきた律がバチコン!とウインクを決めてくる。似合うのがまたムカつく。
「お、僕お誕生日席だね!」
見事に猫をかぶっている律くん。普段よりかなり甘めな口調となっております。
「みおん!こっち。」
「んー。」
自分の左側の空席を指す律に従って机の上にトレーを置いた。うどん2杯と水だけなのに、もうちょっと手首が痛い。握力が終わってる。
「あの、律くん?これから関係ない話するけど、大丈夫?つまらなくない?」
気まずそうな一花の問いかけに律は、子犬スマイルを崩さないまま首を横に振った。
「大丈夫だよ。”関係ない話”をどうぞ。あと、僕のことを名前で呼ばないでもらってもいいかな?みおんが嫉妬しちゃうから。」
誰が嫉妬するか!と普段ならツッコむところだけど、律の背後になにやら黒いものが見えるので視線を落として知らんぷりを決め込む。
「ご、ごめんなさい。」
「いいえー。」
一花の慌てた声に、律はさっさと私の前にうどんを置いて水もくれる。どうやらトレーは律が使うらしい。
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