第42話

「はぁ。」



そして昼休み。教科書を教室の後ろにあるロッカーになおして沸き上がり続けるため息を惜しげもなく吐き出す。



「ため息つくくらいなら断ればよかったのに。」



「うっさい。」



ニヤニヤとからかうのは律だ。私と律の席はそんなに離れてないのに、さっき一花がきた時は知らんぷりを決め込んでいた薄情な奴。


律は一花が嫌いだから、できるだけ寄り付かない。一花もそれを感じているのか、律に話しかけることはあまりなかったりする。



誰彼構わず話しかけてすぐ虜にしてしまう天使一花ちゃんでも、苦手な部類があるということなのかな?




「まぁそんなむくれるなって。僕もついていってあげるから。」


「律最高。愛してる。」



真顔で平坦な声で言ったにも関わらず、なぜか周辺が沸いた。チラリと周りを見れば、少々浮わついた雰囲気が感じられて、またかと内心舌打ちをする。




「知ってる。行くぞ。」



ふ、と余裕の笑みを浮かべて私の頭を撫でた律。所作だけならかっこいいのに、相手が律なのが残念すぎる。


できれば俳優の小澤 恵おざわ けいにしてもらいたい。いや、強く望む。

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