第38話
醜くて笑ってしまう。
だって一花から言ったら私はなんでも持っているのだから。
私には両親がいる。彼女から見ればそれだけで十分だろうな。
高校も苦労なく行きたいところを選ばせてくれたし、生活面でもなに不自由なく育ってきた。
彼氏は本当はいないけど、一花は律を私の彼氏だと思ってるし…。
『美音ちゃんはいいよね、なんでも持っていて。』
ふとした時、時々言われる言葉。
それはあなたでしょう?
そう言っても一花は信じない。
自分がどれだけ恵まれているかを。
私がそれを羨ましいと思っていることを。
そして、それが壊れればいい、なんて、人として終わってることを私が思っていることだって。
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