第31話
子供の頃から抱き続けていた恋心は、健介と一花が出会ったことによって一瞬で砕かれた。
私からの紹介で3人で会うことになったあの日、自分の惨めさと馬鹿さに涙が出そうで、それをこらえるために笑ってたつもりだけど、正直うまく笑えてたかどうか分からない。
しかもその日に健介からの告白で2人は付き合うようになって。
紹介しておいてなんだけど、会ったその日に知らない男と付き合う一花も正気なのかな、なんて嫌なことも考えた。
あとは若い2人で、なんて、ちょっと古い表現でおちゃらけてどうにか帰路につけた私は、道端で号泣しながら律に電話をかけて、彼を困らせたっけ。
それが高校1年の夏くらい。ほぼ1年経っているとはいえ、まだまだ私の傷口はかさぶたもできていないらしい。
「変なの。なんで健介がお礼を言うのよ?」
おちゃらけた感じで私は、また歪な笑顔を見せているんだろうな。頑張って絞り出した声は、自分でも分かるほど震えていて。
ほんとに私って、馬鹿なんだなと思う。
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