第27話

と言っても、一花の場合はお金のためというのが大きい。私たちが通う山義やまぎ高校は私立。地元では有名な進学高校で、授業料もそれなりにする。



だけど、山義に入れば間違いなく良い大学に進めると言われているくらい進学に対して定評のあるこの学校に、公立を捨ててでも進みたい人は多くて。



将来良い定職につきたいらしい一花が山義に行きたがるのは、私の志望校というのも要素に入れて、当たり前のことだった。



それに、山義は特待生制度もきちんとしている。



特別進学コースの上位10名まで、学費から学校維持費、備品購入費用まですべて学校が払ってくれる。


しかも、申告すれば食堂で使える食券まで支給されるというんだから、すごい。



一花は中学の頃からトップを走り続けていた子。将来良い大学を狙える山義で特待生になれば、両親にも負担をかけなくて済むってキラキラした笑顔で嬉しそうに話していたのは記憶に新しい。

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