第24話

「今、少しずつ荷物を移動させてて。」


「それが済んだら、完璧な居候さんってわけ?」


「うん。」



はぁ。律の大きなため息に笑うしかない。そんな私を見て、律は不愉快そうに眉間に皺をつくる。


可愛い顔が台無し、なんて思ったのは秘密。



「なにそのできレース。みおんが断れないようにできてるじゃん。」


「断るつもりは、なかった、よ、多分?」


「はぁ?」


初めて会った時からそう呼んでいる呼び名は、【律彼氏説】の立証に大きく貢献しているらしい。



本心を言った私に威嚇するように吐き捨てた律の態度を見れば、どう考えても好きな女の子に対するそれとはかけ離れていることが丸分かりだっていうのに。



でもまぁ人は、信じたいことを鵜呑みにする生き物だ。




「そんな顔してるくせによく言うよ。」


「どんな顔よ?」



そう質問すれば、律におでこをデコピンされた。地味に痛い。

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