第19話

それでも、一花は親友で、私の大切な人なのは変わらない。少々嫌だなと思う部分があったとしても、それで付き合いをやめるほど薄情でもなければなにより、環境がそうさせることを阻止していた。



親が親友同士で家も隣同士。家族旅行も基本合同で行き、たまに夕飯ゆうはんを一緒に食べることもあるくらい。そんな両家の子供同士が些細な嫌な所があることで縁を切るなんて、そんなのあり得ないから。




一花は、突然ネガティブになる以外は大好きな友達だし、不満はなかった。



だけど、少しずつ感じる違和感はやがて大きくなっていって。



高校2年になって大学受験を考える頃になると、私は少しだけ、今の状態に疲れを感じるようになっていた。




そんな時、あの事件が起こって。





私の親友は、ご両親を失った。

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