第7話

とりあえず濡れた制服をお風呂の脱衣所で脱いで、ボーッとした意識のまま、シャワーを浴びる。



少しずつ温かくなっていくお湯を手で確認しながら、先ほどの光景が目に焼き付いて離れない。



ケーキと紅茶を前に、笑い合っていた2人。一花は目を泣き腫らしてはいたけれど、楽しそうにお母さんと話していて。



『両親が死んだのに、もう笑ってんの?』



なんて、また嫌な自分が顔を出してきて、それを打ち消したくて頭上にシャワーヘッドを掲げた。




ザアザアと雨に似た音が私の耳を支配して、さっきお母さんが口にした”あり得ない提案”を打ち消そうと奮闘する。



だけど、それは土台無理な話だ。




『一花ちゃんを成人するまでの間、家で預かろうと思うの。』



両親を失った一花。法律とかはよく分からないけど、親戚とかが後見人とかになって、成人するまであの家で独り暮らしとかが普通なんじゃないかな。



それを、うちが引き取る?養子にするとかじゃないにしろ、無関係の、娘の私が友達ってだけの彼女を?



「…成人。」



私たちは今高校2年生で、一花も私も17歳。成人まであと2年とちょっとって所かな。進学先の話をしたことがないから一花が卒業後どうなるかは分からないけど、面倒を見るということは、彼女が成人するまでの間はうちの親が彼女の親になるということだ。

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