第50話

「えーと、どんな状況、かな?」


「っっ、離せ!」



穂乃花を背に庇って、相田の腕を掴んだ僕は壁際に”めり込んでいる”3人を見た。きっと顔は困惑しきっているだろう。だって松木の話だと、相田がいつもつるんでいる奴らがついていった、と。



相田がいつも一緒にいるのは騒いでるのがデフォルトのギャル2人とやたらチャラい男。名前はなんだったか忘れたけど、よく廊下で相田と騒いでてうるさい印象しかない3人だ。それこそうちのクラスの愛咲が憧れてると言っていたのを聞いて、変な奴には変な奴なりのなんかがあるんだろうなと内心感心したのを覚えている。



それでも、学校一のイケメンとつるんでいるからかこいつらは学校でも人気者として扱われていたわけで。ギャル2人はもちろん、チャラ男も確か相手が途切れたことはないと有名だ。



といっても、ギャル2人は相田狙いというのは常のことらしく、つなぎの彼氏というわけのわからないポジションに甘んじている歴代の男たちはプライドがないのかと嘲笑われていた。




とにかく、入学して1年。穂乃花とは別に学校中の話の種として人気だった奴ら。そんな奴らが僕達に背を向けて壁に額を擦り付けるようにして立っている。それが視界に入らないように気配を消しているようで、その異様な光景はまさに壁にめり込もうとしていると表現した方がしっくりくるほど。



相田の腕を掴みながらも、僕の頭の中は混乱しっぱなし。とりあえず状況を説明してほしいと穂乃花を見た。

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