第47話

それを差し出すのはもちろん穂乃花。しかも満面の笑み。いや、可愛いけど。とりあえず食べていいってこと、だよな?



「…うま。」


「へへ、ありがとー。」



ほんのり大葉が効いててものすごくうまい。しかもその箸はもしや穂乃花さんがご使用のものでは?か、か、間接っ。



「ゴホッ、ゴホゴホッ!」


「大丈夫?はい!お茶!」


「ほっ、そっ、ゴホッ!」



お茶も穂乃花のペットボトル!僕には少々刺激が強すぎるっ!なんとか断って自分のコーヒー牛乳のストローを頑張って吸う。もちろんもう飲んでしまってるのでほぼ水分は摂取できなかった。



それでもなんとか意地で呼吸を整える。なぜ穂乃花の方が残念そうなんだ。



「はいティッシュ。」


「ん。ありがと。」


「ふふ、かわい。」



穂乃花に貰ったティッシュで鼻をかんでいるとなぞの可愛いをちょうだいする。さり気なく僕の頬を穂乃花が人差し指で撫でる。頬杖をついて笑いかけてくる様はまさに天使のようだ。




「うん。お前らはそのまましてれば確かに大丈夫だわ。」


「自覚があるのかないのか。クソが。」


「ん?」



僕達の様子を見て、松木と秋田が呆れたように呟いた。首を傾げた僕に、更に悪態を吐いてきたのは説明するまでもない。



とにかく、噂は噂。相田がなんと言おうと現実は変わらないのだから、どうにかなるだろうとなんだかふわりとした結論を出した僕達は、噂のことは気にしないことにした。



もちろん、相田もそんなに馬鹿じゃない。不毛な嘘はもうつかないだろうという考えに至ったのと、僕と穂乃花が、その…あまりにもいちゃつく、から、松木と秋田が諦めたというのもある。



それを後悔する日が来るなんて、思いもしなかったんだ。

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