第46話
そしてその”穂乃花二股疑惑”の信憑性を高めているのが…。
「チッ。来たよ。」
松木が珍しくマジのトーンで見た先にいる、相田ご本人だ。つられるように見れば、相田は友達に肩を叩かれつつ歩いている。その顔に貼り付けられているのは【落ち込み】。いかにも”俺、可哀想です”感を出す相田を慰めるように、よく一緒にいる連中と食券売り場の方へ向かっている。
奴らがチラチラと見るのはもちろん穂乃花。相田といつも一緒にいるギャル2人なんかつけまつげ取れるんじゃないかくらいの勢いでこちらを睨んでいる。
それはまるで、”穂乃花が告白をOKしたのに、堂々と二股されてる哀れな俺”。と言っているかのよう。正直卑怯だし軽蔑する。
「こっちが説明しないのをいいことに調子乗ってるよな。」
秋田が静かに呟いた。声のトーンがマジで、長年の付き合いから本気でキレていることが分かる。まぁでも、ここで憤っててもしょうがないんだよな。
「まぁ、噂が広まってる以上否定したいのは分かるけど、一番の対処方法は無視だと思う。」
「はぁ?それって俺達がただ迷惑かけられるのを耐えろってことだろ?」
「だな。」
松木の責めるような声に苦笑いをこぼした。でも正直、それが一番だと思う。
「周りがどう騒ごうが、穂乃花が僕と付き合ってて相田は随分前にフラレてるってのは事実だ。それをいちいち説明する方が作り話っぽくなるし、正直あっちの方が人数は多い。付き合えば付き合うほどこっちがしんどいと思うんだ。」
「…確かに。」
秋田が頷く中松木はまだまだ納得していない様子。そんなことを考えていると、目の前に卵焼きが出現した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます