第40話

まぁ、穂乃花に行かなかっただけでも良しとしようと思い直して授業に励む、わけじゃないが、だらだら色々考えてたら、1時間目の授業が問題なく終了した。そのあと。



「ねぇ!久住って飯倉さんと付き合ってるってホント?」


「嘘だよね!だってあの子、相田と付き合ってるんでしょ?」


「私は嘘であって欲しいなぁ。」


「…。」



めんどくせー!


授業の間の10分休みが来るたび、待ってましたとばかりにクラスメイトたちが僕に詰め寄ってくる。といっても、相手は僕に答えを求めているわけじゃない。


「でも加奈子が相田から直で聞いたらしいよ?」


「私もー。相田と同クラの友達が本人から直で聞いたって言ってた。」


「でも、飯倉さんって今朝久住と手繋いで来てたよね?」


「「「どういうこと?」」」



まるで謎を前にした探偵のように、僕を置き去りにして状況を整理していく。そして最後には考えることすら放棄して、直接、”答え”の僕に問いかける。とりあえず言おう。



「知らん。」


「は?」


「おい!久住!」


うんざりしたので午前中は10分休みのたびにトイレに行った。移動中も廊下でヒソヒソ、コソコソ。トイレでも流石に毎回出ないから窓から外を眺めていたら隣に立たれて質問攻め。1番ムカついたのは小をしていたら僕の隣に立って無言で僕の息子を覗き見していた変態がいたことだ。なぜ何度も頷くんだ?親指を立ててきたってことは合格なのか?



「お前も大変だな。とりあえず購買でクリームパン買ってこいよ。」


「そうそう俺ら2人分な。」


「…友人が冷たいのですが。」



ようやくの昼休み。それなのに僻んだ友人たちの視線が冷たい。クリームパンなんて買えるわけないだろと思いながらも、母さんの弁当じゃ少々足りないので買い足すために席を立った。その時。

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