第22話

昨日、電話じゃなくても"彼女"とやりとりできるのが嬉しくて、確か夜中の2時くらいまで話し込んでたのは覚えてる。最後の方は記憶が曖昧だ。なんでかっていうともちろん寝落ちしたからだ。


しかも最後の文面。



[ちょっときいtsばk、]


[笑笑、おやすみ]



…ちゃんと送信してる僕です。


でもそれを察しておやすみのあとにハートいれてくれてる彼女のかわいさが、朝妹にダイビングボディーアタックされて起こされた僕の傷ついた心を癒してくれた。うわ、自分で言ってキモい。とにかく、それくらい浮かれてた。それもさっきまでだけどな。



まぁ結果寝落ちのせいで充電もしてなくてシャットダウン。真っ暗な画面を見て大きなため息が出た。



「…遊ばれたのかなぁ?」


[じゃぁ、知世ちせくんで!]



言ってみてそれは違うと何故か確信できた。頭の中には昨日やりとりした文面がそこらじゅうに広がっている。




「なんて?」


「別に。それってさ、ほんとなわけ?」


「は?」



松木の眉間に深い皺が寄る。めちゃくちゃ不愉快ですと書いてあるそれに若干怯んだ。




「…お前はさ、俺の言うことが信じられないわけ?」


「マジのトーンで言うことか。」



めちゃくちゃ低い声で真面目な感じで言った松木の頭を、秋田が叩いてツッコミを入れる。冗談はいいけど今すんな。タイミングの悪いボケに本気で松木の頭を叩きたくなった。




「まぁ俺も又聞きなんだけどさ。」


[誰から?」


「加奈子。」




出た。僕の質問に間髪入れず返って来た答えは、本人がニヤニヤしてるのを除けば予想のつく相手だった。



加奈子。松木の彼女。それも相田のクラスメイト。

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