第12話
(あ。)
秋田たちと3人で廊下を歩いていたら、反対側から飯倉穂乃花が友達と2人で歩いてきた。
でもまぁ別に知り合いじゃないし?なんて思いながらも視線が外せない。
「んでさぁ、カンストするにはちょっと小遣いが足りなくて…。」
松木のスマホゲーム課金事情を聞きながらも僕の意識は飯倉穂乃花に全集中。あからさまに見てるのは良くないと思うのに、相変わらずの可愛さに釘付けだった。
するとすれ違う瞬間。
飯倉穂乃花が僕に目を合わせて小さくはにかむ。僕の心臓が大きく跳ねた瞬間、彼女は僕に向かって小さく手を振った。
それは堂々と手を挙げてというわけじゃなくて太ももの辺りでフリフリと、くらいだったから、僕以外誰も気付いてないけど。
でも確かに彼女は僕に手を振った。
僕もぎこちなく手を振る。勿論周りに分からないように背伸びをする仕草ですぐに誤魔化したけど。きっと今彼女に向けているはずの笑顔はめちゃくちゃ気持ち悪いだろう。
僕たちは当たり前に会話をすることなく、ただすれ違った。でもすれ違った瞬間香った飯倉穂乃花の香りはあの図書室で過ごしたあの時のように良い匂いで、ドキドキした。
「あ、飯倉穂乃花。めっちゃ可愛いよなー。」
松木の会話に飽きた秋田がそうつぶやく。その言葉にちょっと苛ついたのは内緒だ。
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