第11話
「ちくしょー!人生勝組を見てしまって俺の目は今溶けているに違いない!」
「なんそれ。」
鼻で笑えば僕を溶けているはずの目で睨みつけてくる松木。
「あの輝きを見ろよ!女子にきゃっきゃ言われながら楽しそうに笑ってよ!ああいうのが結局飯倉穂乃花を陥落させたりするんだろ!人生は陰キャか陽キャで全てが決まるんだ!」
思いがけず出てきた名前にドキッとする。僻み全開の松木は自分の目が溶けているに違いないから見てくれ!と秋田にグイと顔を近づけて嫌がられている。
「まぁ確かになー。飯倉穂乃花みたいな子は結局あいつみたいなのが取ってくんだろうな。」
松木の頬を手で押しのけながら秋田が顎で指したのは、校庭でサッカーしている眩しい集団の中心でひときわ光っている男。
サッカー部のエース。先輩からは可愛がられ、後輩に慕われている男。コーチにも気に入られていて、なんと成績も学年2位をキープの化物。勿論顔も良くて嫌味にもいつもニコニコしてる。
主に声がでかい女子からの情報だけど、めっちゃ優しいらしい。もちろんそんな男を女子が放っておくわけもなく、1年の時はクラスが同じだったせいか呼び出されるのを何度も見た。そんな相田は1年の時確かサッカー部のマネージャーと付き合ってたはず。
飯倉穂乃花ほどじゃないけど可愛いで有名だった子だ。確か去年のクリスマス前に別れたって騒ぎになってた。まぁ付き合えば別れるなんてこともあるから、別れた理由なんてどうでもよくて気にも止めなかったけど。
まぁ結局は1年も付き合ってないけど、明らかとっかえひっかえ狙える地位にいるにも関わらず長めに付き合っていたから、誠実なやつなんだろうなとやんわり思っていた。
頭も良くて運動神経もいい。顔も良いし人も良い。しかも誠実?うさんくせー。でも結局そういう奴が最終的に飯倉穂乃花をゲットして、学校でも有名な素敵カップルみたいな扱いを受けるんだろう。
犬のことで話しかけられた程度で舞い上がってる僕には到底たどり着けない頂き。まぁいいよ。僕山登り苦手だし。
あまりにも校庭を見ていたら、松木みたいに目が溶けるから目を逸らした。
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