第10話
マンガとかだと、それからヒロインと主人公はなにかと話すようになり、2人だけの時間が増えてお互いを意識するようになる、みたいなご都合展開に発展するだろう。
だけどそこはさすが僕。そんな展開は万に一つもない。
「クソ暇。」
「だる。」
ワイヤレスイヤホンを片耳だけ着けた秋田のクソ暇と、シャーペンを指でくるくるさせる松木のだるをひたすら聞く日々。こいつら、1日にこのセリフを何万回言うんだ?と怖くなる。ひたすら動画のショートを再生し続けているみたいに2人はひたすら「クソ暇。」と「だる。」を繰り返す。
「お前らうるせえ。」
「だって暇だろ。」
「だるいのは宿命やし。」
女みたいに口を尖らせる秋田と若干の中二病を匂わす松木にかすかな殺意を感じながらも、確かに自分たちは昼休みを充実に過ごせているとは言い難いので反論する気も起きず。
若干大げさにため息を吐き出して外を見れば、いわゆるパリピ勢が男女混合でサッカーをしているのが見えた。
「何見てんの?」
「んあ?人生勝組たちの戯れ?」
「なにそれ。」
秋田に答えれば松木が鼻で笑って外を見る。そして外の奴らを見とめた松木は酸っぱいお菓子を一気に食べたみたいな顔をした。
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