第3話

そんな”充実した”GWが終わっていつもよりだるい朝、僕はその日の自分を今でも褒めてやりたい。すげー褒めたけど。今でも褒めてるけど…褒めてやりたい。



(ネットでも調べられるけど、本とかあるといいかもな。)



何を思ったのか中学2年生の妹がGWに家族で行ったペットショップで人生最大のおねだりを決行。なんと10万円で売られていた8ヶ月のチワワを欲しがった。



ペットショップでそこそこ成長してるとはいえ10万なんてどっか齟齬があるに決まってる。僕はそう言ったけどなぜか父さんまで乗り気で渋る母さんまで説得されてしまい、その場で購入が決まってしまった。



クリーム色のロングコートチワワ。可愛いけど、うん。可愛いよ?可愛いけど。…家に帰った途端、すげー吠えるんだよね。



『安く売っていたのは、これが原因、か。』



膝ついてがっくりそう言ってた父さんがすげー面白かった。



『だから言ったじゃないの。』



と吠えまくるチワワを前に呆然と言っていた母さんには正直、同情しかない。



母さんは家の近くのコンビニで朝8時から13時までパートをしている。だから正社員の父さんや学校に行ってる僕と妹の佳奈かなよりもあの小さな吠えまくり犬との時間は密接。


妙に大きくなっているのもあってこれから躾が大変だろう。しかもうちの2軒隣の家のおばさん、結構煩いんだよね。



『夏で窓を開けるのは分かるんですけどねぇ?テレビの音がちょっと…いえ、別に煩いとは言ってはいないんですよ?』



なんて、わざわざチャイム鳴らして訪ねてきてまで言ってるような人だから。マジでヤバイよな。



そんなこんなで、我が家に突然増えた吠えまくりチワワの躾の本が学校の図書館にないかと思った僕は連休明け、30分だけいつもより早く家を出て図書館を目指した。



朝早すぎて開いてないかもな、なんて思ったけど、いつも遅刻ギリギリの時間に学校に着いてるんだから、早すぎることもないかと思い直す。一旦職員室に行こうとしていたけど足を止めて、静かな廊下を歩いて図書館へ向かった。

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