第2話

僕、久住知世くずみちせと、飯倉穂乃花いいくらほのかが出会ったのは高校2年の5月のGW前だった。



もちろん僕は彼女のことを知っていた。なんせ学校一の美女だって騒がれていた子だったから。



入学してすぐは特攻した男子からの告白を切っては捨て切っては捨てして、今日は何人切りをしただの、今日は同時にされて断っただの、最終的に彼女が誰を彼氏にするのか、各クラス盛り上がった。


高校に入学したら彼氏彼女がいないと寂しい、なんて根拠もない不安に襲われ、みんな積極的に"狩り"に勤しんだ。正直、まだ知り合って間もないんだからすぐに相手を決めるのは無理がないのか、平凡な顔に生まれてモテそうにない自分は、そんな慎重派を気取ってダラダラ過ごした。



結果、【高嶺の花】に彼氏はできなかったが、各クラスのパリピ勢を中心にGWに入る頃には彼氏彼女がいる勝ち組がちらほら見えるようになっていた。



もちろん僕は、友との友情を育むのに忙しく勝ち組にはなれず。中学から一緒にいる秋田優あきたゆうと、新しく高校から友達になった松木茂まつきしげると充実した日々を送っていた。



GWは映画を見に行ったり、いわゆるオタクな町をぶらついてみたり、ゲーセンに行ったりと、ごく普通の男子高校生の休日を送れたと思う。



ちなみに僕の家はGWに旅行に行くような素晴らしい家ではないので、友達と遊びに行く合間でショッピングモールに家族で出かけたくらいなものだ。

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