第57話
「ていうか今どき手紙って。てことはバイト先でのあれもそうだったってことでしょ?なんか、なんかなー。」
「…かゆい?」
「そう!なんか背中の手が届かないところがかゆいのに手が届かない!みたいな!」
「ほんのちょっとズレてる感じっていうか。」
「それ。意外とあれだよね!」
「不器用、みたいな?」
「いい感じの言い方しても無駄よ。あれは残念の匂いがする!間違いない!」
「歴代の彼氏みたら妙な説得力があるね。」
「これは喧嘩売ってるな。良いよ乗ろう!」
拳を握ってファイティングポーズする真姫を無視して手紙を見た。自然と溢れるのはため息。
「断るの?」
「うーん、そうだね。私には恐れ多いというか。」
「まぁ、ステータスとして付き合うならまだしもね。しかもあれと付き合ったらほぼ確定で災難運んでくるよ。有栖美月とか有栖美月とか、あとー、有栖美月とか?」
「全部同じ人じゃん。」
指折り同じ人物を数える真姫に苦笑いが漏れる。
そうなんだよね。蓮水氷鷹さんが凄すぎて軽く付き合うって言える人じゃないのもあるけど、彼が運んでくるトラブルの方が重荷だったりする。彼の歴代の彼女さんは基本実名出されなくても報道されてしまうし、ネットじゃさらされ放題。
誉人に興味のない私でも何人と付き合ってきたかある程度知っているほどだ。
しかも、付き合った、より有名なのはその別れた理由。ネットで拾った怪しい噂だけに過ぎないけど、その理由のほとんどに有栖美月が関わっている。
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