第56話

「ていうか、ラブレターなのに側近に渡させる?こういうのって本人が顔を赤らめてもじもじしながら渡してくるものじゃないの?」


「七緒の謎なラブレターへの偏見は置いといて。桜森さんからの方が目立たないって本気で思ってたらしいよ。面白いから実行したって。」


「へー。…ん?」


「ん?」



スマホを見ながらの真姫に首を傾げれば、スマホの画面を見せられる。



そこには桜森さんとのLUINのやりとりが。



「…いつの間に。」


「お互い情報共有は大事でしょうって名刺を渡された。あの女が大人しく帰ったのも彼がフォローしたからだよ。」


「そんな裏話が?」


「いや、堂々としてたけどこの手紙ばっかり見てたのはあなただから。」


「…それはお恥ずかしい限りです。ええ。」




フン、と鼻で笑われたけど、正直この手紙の”重さ”はまだしも、心のこもったラブレターを異性からもらうというのは、この電子化の時代でも嬉しいものだ。


あの瞬間はちょっと嬉しさが勝ってて、舞い上がっていたのは素直に認める。



「前から思ってたけどあの側近、相当な腹黒だね。普通面白がる?」


「人の恋路を面白がってはいけないと思います。」



それに私が関わっているならなおさら。本当にやめてくださいお願いします。

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