第54話
笑顔で桜森さんに近づく有栖美月。親しげに笑顔で擦り寄り、しれっと腕に手を添えている。自分の可愛さを最大限理解して行動してる感じで厭らしい。しかもそれが普通に可愛いから嫌だ。
だけど桜森さんは彼女の誘惑にも変わらぬ笑顔で、なにかを言った。途端に有栖美月の美しい微笑みが引きつる。
そんな彼女を置いて桜森さんは笑顔でこちらに進む。
ん?こちら?振り返ると大学の正面玄関が遠くに見える。うんうん。大学に用事よね。うん。
「失礼ですが、水無瀬…。」
「なにか用ですか?」
聞き慣れた名前を遮って、真姫が一歩前に出る。
「いえ、私は。」
「あれ。」
なにかを言おうとした桜森さんの視線は私に。だけどそんな彼の視線を遮るように立った真姫が顎で示して低い声を出す。そこで一拍。うん、桜森さんはなにかに気がついたらしい。
上質なスーツの内ポケットに手を突っ込んで、白い封筒を取り出した。
「崇高なる誉人様からのお手紙です。
桜森さんがチラリと私を見て口角を上げる。ま、まさかねぇ?
「ちなみにこちら、時代に逆行したラブレターとなっております。」
まさか、ねぇ?
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